2024-08-27
子が親の所有している不動産を相続すると、子に対して相続税が課されるため、存命中に子に不動産を譲ることを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、親子間で不動産を売却すると、場合によっては贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。
そこで今回は、そもそも贈与税とはどのような税金なのか、親子間で不動産を売却して贈与税がかかるケースと、非課税にする方法について解説します。
墨田区で相続対策として親子間での不動産売却をご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。
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まずは、贈与税とはなにか、その概要と課税方法について解説します。
「贈与」とは、個人の財産を無償で渡すことです。
財産を渡すという意味では相続も同じですが、相続は自分が亡くなったあとに、法律で定められた法定相続人が財産を引き継ぐことです。
血縁関係にない第三者に引き継がせたい場合は、遺言によって財産を渡す「遺贈」という方法もあります。
しかし、相続や遺贈で財産を渡すのは、自分が亡くなったあとであり、相続税が発生します。
一方、贈与は、存命中に自分の意思で財産を受け取る方を決め、その方との合意のうえ、財産を渡すことです。
自分が生きているあいだに、財産が引き継がれることを見届けられるため、安心して財産を渡せる方法だといえます。
ただし、贈与を受けた方は、その金額に応じて贈与税を支払わなければなりません。
つまり、財産を渡す際には、相続であっても贈与であっても、税金が発生するということです。
贈与税の課税方法には、以下の2種類があります。
暦年課税
暦年課税とは、1年間に贈与された財産の合計額に対して課される方法です。
ただし、1人当たり年間110万円の基礎控除があります。
言い換えれば、贈与によって受け取った金額が、1年間に110万円以下であれば、贈与税は課されないということです。
なお、相続開始前7年以内の贈与はなかったことにされ、相続財産に加算されます。
相続時精算課税
相続時精算課税とは、贈与を受ける財産の金額が2,500万円までは非課税となり、贈与をおこなった方が亡くなった場合に、相続財産に贈与額を加算して相続税を計算する方法です。
この制度でも、年間110万円の基礎控除があり、110万円を超えた贈与額の合計額から2,500万円を差し引き、残った金額に対して贈与税が課される仕組みになっています。
つまりどちらの方法も、年間110万円を超えた分に対しては、税金が課されるということです。
贈与を受ける方は、どちらの方法にするか選択することができます。
ただし、相続時精算課税を一度選択すると、相続発生まで継続しなければなりません。
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親子間で不動産売却をおこなったり、不動産を活用して得たお金を贈与したりすると、贈与税が課される場合があります。
そこで次に、不動産に関して親子間でやりとりをすると贈与税が課されるケースについて解説します。
先述のとおり、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
たとえば、親が所有している不動産を売却して得たお金を、子に贈与する場合、その金額が年間110万円を超えると、超えた分に対して贈与税が課されます。
なお、暦年課税の基礎控除である年間110万円は、贈与を受けた方1人当たりの合計です。
たとえば、父と母から110万円ずつ、合計220万円の贈与を受けた場合、基礎控除が適用されるのは、110万円のみです。
相続時精算課税の基礎控除は、父と母それぞれからの贈与に適用できます。
つまり、2,500万円と年間110万円の基礎控除を両方からの贈与に適用し、合計5,000万円と220万円を超えなければ、贈与税が課されないということです。
ただし、先述のとおり、相続発生時には、相続財産に累積贈与額を加算して、相続税額を算出します。
存命中に、親から子へ不動産の名義を変更するケースもよくあります。
この場合も、不動産を贈与したことになるため、贈与税が課されます。
親子間で不動産を売却するケースも考えられます。
この場合、子から売却代金を受け取るため、贈与にはならないだろうと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、その売却価格が時価より著しく安い場合、時価との差額に対して贈与税が課される可能性があります。
どれくらい安く売却した場合に贈与とみなされるのかについては、法的に基準が定められているわけではありません。
しかし、目安として時価の80%以下で売却すると「著しく安い」と判断される恐れがあります。
親子間取引については、贈与税対策として、安い価格で取引されることがあるため、税務署も目を光らせています。
したがって、親子間で不動産を売却する際には、慎重に価格を設定することが大切です。
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親子間で不動産を譲ったり、不動産を売却して現金を渡したりすると、贈与税が課される場合があることを前章で解説しました。
では、どうすれば贈与税を回避できるのか、その方法があれば知っておきたいですよね。
そこで最後に、贈与税を非課税にする3つの方法について解説します。
贈与額が大きい場合は、相続時精算課税を選択することで、2,500万円の基礎控除を受けられます。
ただし、相続時に贈与額を加算されるため、税金を納めなくても良いというわけではありません。
贈与を受けた時点での非課税枠は大きいですが、税金の先送りとして考えておきましょう。
親が子を援助する意味で贈与をおこなう場合、それが贈与税の対象にならないものもあります。
具体的には、教育費や生活費、結婚費用、出産費用などです。
たとえば、子が留学するための費用を親が支払った場合、それは教育費に該当し、贈与とはみなされません。
また、結婚式の費用や、新居で使用する家具などの購入費用、出産費用なども、贈与税の対象外です。
子がマイホームを購入するにあたって、親が資金を援助するケースも珍しくありません。
この場合、最大で1,000万円までは非課税になる特例があります。
これを、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」といいます。
ただし、この特例が適用されるのは、贈与を受けた年の1月1日時点に18歳以上になっている方です。
また、配偶者や親族といった特別な関係にある方から取得した住宅には適用されません。
さらに、贈与を受けた翌年の3月15日までに入居する必要があります。
なお、非課税限度額は、取得する住宅によって異なります。
省エネ住宅の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合には500万円までです。
この特例を利用するためには、確定申告が必要です。
贈与税が発生しなくても申告しなければならないため、忘れずに手続きをおこないましょう。
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親から子へ、無償で金銭や不動産を譲り渡した場合、基礎控除額を超える分については贈与税が課されます。
また、親子間で不動産を売却した場合、時価より安い価格を設定すると贈与とみなされる可能性があるため注意が必要です。
親子間での取引は税務署が目を光らせているため、贈与とみなされないような価格で売却するよう、税理士や不動産会社と相談しながら進めていくことが大切です。
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